新潟の日本酒は淡麗辛口なのか?甘いお酒はないの?
一昔前、新潟の日本酒は「淡麗辛口」で一世を風靡しました。
今でこそあまり聞かなくなりましたが、そのイメージは根強いです。
新潟の酒蔵の数は88と日本一ですが、その全てを「淡麗辛口」でくくって良いのでしょうか。
今回は新潟の日本酒の「淡麗辛口」の真偽について解説します。
新潟=淡麗辛口は間違い
新潟の日本酒は好きでよく飲みますがすっきり辛いだけではないです。
芳醇辛口、淡麗柔口、酸のある甘いタイプと様々なタイプがあります。
淡麗辛口という言葉でまとめるにはバリエーションが豊富すぎます。
数値からひも解く新潟の淡麗辛口
新潟清酒産地呼称協会や国税庁が新潟の日本酒の分析値のデータを公開しています。
それを見ても新潟の日本酒は目立って辛口というわけではありません。
そもそも辛口ってどのような味なのでしょうか?
なぜ新潟=淡麗辛口という印象を持たれているのでしょうか?
甘い、辛いを表す数値
甘辛度という甘い、辛いを表す数値があります。
少し古いデータですが国税庁によると辛口タイプなのは香川県、富山県、高知県です。
濃淡度という濃い、スッキリを表す数値もあるのですが、淡麗タイプなのは静岡県、埼玉県、新潟県、群馬県となっています。
確かに新潟の日本酒は淡麗タイプが多いです。
日本酒度で見る甘辛
甘い、辛いの指標に日本酒度というものもあります。
新潟清酒産地呼称協会のホームページに新潟の日本酒の日本酒度が掲載されているのですがほとんどが0~+4の間にあります。
この数字は一般的な日本酒と比べて高い数値ではありません。
特別に新潟が辛口とは言えませんね。
新潟淡麗
上記の2点を踏まえると新潟=淡麗辛口というより新潟淡麗です。
確かに新潟の日本酒はきれいな味わいのものが多いです。
なぜきれいなのか分析していきます。
なぜ新潟の日本酒は淡麗なのか
五百万石
新潟の多くの酒蔵では五百万石という酒米を使用しています。
五百万石は米が固く溶けづらいため、醪で糖分が少なくなり甘さを感じにくい味になりやすいです。
水質
新潟の水は軟水のため、味にクセがなく口当たりがよいです。
まろやかな水なため甘い味わいとも相性が良いです。
技術
新潟では1930年に全国で唯一の清酒専門醸造試験場が誕生し、酒米の研究や蔵人の教育を行ってきました。
昔から全国新酒鑑評会の金賞受賞酒蔵の数がトップクラスでその技術が市販酒にも反映されています。
そもそもが雑味の出にくい酒造りをしているのです。
ただ最近では酒造りの技術の進歩や人の趣味嗜好の多様化に合わせて、新潟の日本酒も様々な味わいが見られます。
雑味が少ない=辛口だけではなく、甘い味わいともうまく調和するのです。
新潟淡麗ではない日本酒おススメ
醸す森 純米吟醸(苗場酒造株式会社)
普通の日本酒とは違う、一段仕込みという製法でつくられています。
珍しい製法なので仕込みが難しく、少量しか作ることができません。
フルーティで甘い味わいと酸が感じられます。
酒蔵の淡雪プレミアム(吉乃川株式会社)
スパークリングタイプです。
ガス充填ではなく、二次発酵という手段で天然の炭酸ガスを利用しています。
一度搾った日本酒に予め残しておいた醪を入れ、再発行させることでガスを生成します。
ガス充填とは違うきめ細やかな泡が特徴です。
程よいガス感がまろやかで甘い味わいと相性が良く、スルスル飲めます。
香里音(朝日酒造)
久保田で有名な朝日酒造のイメージとは真逆の酸味のあるジューシーで甘い純米酒です。
アルコール度数は10度と非常に飲みやすく、容量は300mlと飲み切りサイズです。
絢(原酒造)
特徴は焼酎で使われる白麹を使用していることでしょう。
白麹を使用した日本酒の特徴といえば独特な酸味です。
絢はグレープフルーツのようなフレッシュな酸と甘い味わいがきれいにまとまっています。
おわりに
以上より新潟=淡麗辛口だけではないということがわかりました。
共通しているのは雑味の少ない酒造りを行える技術力の高さです。
全てが似たような味だとつまらないですよね。
甘い、酸っぱい、もちろん淡麗辛口、いろいろな新潟の日本酒を試してみてください!